社会保険料ってどうやって決まるの?計算方法から保険料の抑え方まで解説


THE・会社員
社会保険料ってどうやって決まるの?
計算の仕方がわからん…。
Yota
OK! 社会保険料の計算方法を解説します。
簡単に調べられますよ!

毎月、給与から勝手に天引きされている社会保険料。
「なんでこの金額なんだろう?」と気になる人もいますよね。

「4月〜6月の給与で決まるんでしょ」と知っている人もいるかもしれません。

確かに『4月〜6月の給与額』は、社会保険料の決まり方において大きなポイントです。
しかし、単にその3ヶ月間を注意すればいいというものでもありません。

年間の残業代によっては、結局社会保険料は上がってしまう可能性もあります。

また、お勤めの会社で『確定拠出年金(401k)』を導入されている人にとっては、掛金額によって社会保険料を調整できるかもしれません。

本記事では社会保険料の決まり方はもちろん、どうやって自分の社会保険料を確認したら良いかを解説します。

聞き慣れない用語や各種制度についても書いていますので、「社会保険料の基礎を一通り知っておきたい」という人は必見です!


  • 社会保険料の決まり方
  • 社会保険料を抑える方法
  • 社会保険料は少なければ良いのか?

社会保険料の決まり方

さっそく社会保険料がどのように決まるかを解説します。
ズバリ、社会保険料は“4月〜6月の標準報酬月額”をもとに決められているんです。

しかし、聞き慣れない用語も多いため、以下の順番で解説していきます。

  1. 標準報酬月額とは
  2. 自分の保険料の調べ方

それぞれ詳しく見ていきましょう。



標準報酬月額とは、手当を含む給与のこと

まずは標準報酬月額とは何かをお話しますね。
簡単にいうと『手当を含む月の給与のこと』です。

日本年金機構の『標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集』によれば、標準報酬月額とは“給与や残業手当、通勤手当などの会社から従業員に支払われるお金”のことを指します。

ここではざっくり『標準報酬月額=残業手当などを含む給与のこと』との理解で問題ありません。

とはいえ、まだイメージしづらいと思いますので、具体例をもとに見てみましょう。

たとえば、4月〜6月の給与が以下の金額だったとします。
この場合の平均給与は30万円です。

4月給与:30万円
5月給与:29万円
6月給与:31万円

計算:(30万円+29万円+31万円)÷3=標準報酬月額(平均給与):30万円


そして、この標準報酬月額によって社会保険料が変動します。
社会保険料の話で「4月〜6月の残業を減らすぞ!」となるのは、この3ヶ月間の標準報酬月額の平均によって社会保険料が決まるからなんです。

具体的には、各都道府県の保険料額表に記載の等級によって振り分けられます。



自分の保険料は、各都道府県の保険料額表を見よう

では、実際に保険料はいくらになるのか、東京都の保険料額表をもとに確認してみましょう。
社会保険料は、『健康保険料』と『厚生年金保険料』の2つに分けられており、等級ごとにそれぞれの金額が算出されます。

前述の“標準報酬月額:30万円”の例では、等級は22です。
22等級の各保険料をご覧ください。

会社が社会保険料を半分支払ってくれる『労使折半』の場合、折半額の欄が支払う社会保険料になります。

等級報酬月額健康保険料
:全額
健康保険料
:折半額
厚生年金保険料
:全額
厚生年金保険料
:折半額
22290,000〜310,00029,70014,85054,90027,450
23310,000〜330,00031,68015,84058,56029,280
24330,000〜340,00033,66016,83062,22031,110
※『東京都の保険料額表』の一部を抜粋しています。


上記は東京都を例にしましたが、前述の通り都道府県ごとに保険料額表はあります。
4月〜6月の標準報酬月額の平均さえ分かれば、自分の社会保険料額も簡単に確認できるでしょう。



40歳〜64歳までの人は、健康保険料が上がる

東京都の保険料額表の中に、『介護保険第2号被験者』という言葉の存在に気づきましたか?

これは“40歳〜64歳までの人は健康保険料が上がりますよ”という意味です。
なぜ上がるかというと、健康保険料に『介護保険料』が加わるからなんですね。

もちろん介護保険料が加わった場合の健康保険料も、一覧で出ています。
前述の等級例をもとに、下記に抜粋しましたので見てみましょう。

等級報酬月額健康保険料
:全額
健康保険料
:折半額
健康保険料
:全額
健康保険料
:折半額
介護保険第2号被験者:該当なし介護保険第2号被験者:該当なし介護保険第2号被験者:該当あり介護保険第2号被験者:該当あり
22290,000〜310,00029,70014,85034,98017,490
23310,000〜330,00031,68015,84037,31218,656
24330,000〜350,00033,66016,83039,64419,822
※『東京都の保険料額表』の一部を抜粋しています。

以上のように『介護保険第2号被験者』に該当する40歳以降は、健康保険料が上がります。
どれくらい上がるかは各都道府県によりますので、都道府県ごとの保険料率額表で確認しましょう。


以上、社会保険料の決まり方と自分の社会保険料額の確認方法を解説しました。

4月〜6月の給与で社会保険料が決まるため、多くの人はその3ヶ月間の残業を減らそうとします。

しかし、本当に意味はあるのでしょうか?
残業を減らすことで社会保険料額を調整できるのか、次でお話します。



4月〜6月の残業手当だけ注意しても意味ない⁉︎

「4月〜6月の残業を減らして、社会保険料額を抑えるぞ!」という声をよく聞きます。

しかし、4月〜6月の残業を減らしても意味のない可能性があるんです。
結論としては、社会保険料を抑えたいなら、1年を通した全月で残業代を減らさなければいけません。

その理由は、日本年金機構に記載の『提示決定の留意事項』にあります。

ポイントとなる事項は2つあり、以下に抜粋して要約しました。

  1. 『4月〜6月の報酬月額』を算定する時、実態とかけはなれる場合には修正して算定。
  2. 『4月〜6月の平均報酬月額』と『前年7月〜当年6月までの平均月額報酬』を比較した時、2等級以上の差があり、かつその差が仕事の性質上、例年発生する場合、後者を“標準月額報酬”とする。


『4月〜6月の平均月給』より、『前年7月〜当年6月までの年間平均月給』の方が2等級以上も多い or 少なく、その差が毎年発生する場合、後者の等級になるということです。

うーん、まだ分かりづらいですね。
例をもとに見てみましょう。

・2020年4月〜2020年6月の平均月給:30万円=22等級
・2019年7月〜2020年6月の平均月給:34万円=24等級
 ⇨この場合、社会保険料は24等級で計算されます。

上記はあくまで極端な例です。
とはいえ、年間を通して残業が定常的に発生する人は、4月〜6月の残業代を抑えたところで意味のない可能性があります。

4月〜6月の残業を抑えても、年間で定常的に残業が発生している場合、年間での平均月給額で社会保険料が決まるからです。

しかし、4月〜6月が繁忙期の人にとっては、この制度は救済措置といえます。
以下の平均月給例を見てみましょう。

・2020年4月〜2020年6月の平均月給:34万円=24等級
・2019年7月〜2020年6月の平均月給:30万円=22等級
 ⇨この場合、社会保険料は22等級で計算されます。


先ほどとは逆ですね。
毎年4月〜6月が繁忙期の人は、その3ヶ月間は平均月給が上がってしまいます。
年間で見ればもっと低い等級なのに、繁忙期の高い等級で社会保険料を支払わなければなりません。

そうした実態よりも高い等級で社会保険料を払うことがないように、年間を通じた平均月給と比較するんですね。

いずれにせよ、その人の給与実態に見合った社会保険料額となるよう、定められた制度です。

結論、社会保険料を抑えたいなら、4月〜6月だけでなく、全ての月で残業を減らさなければ意味がありません。

ここまでの話をまとめると、以下の通りです。

  • 社会保険料は4月〜6月の平均月給で決まる
  • しかし、年間の平均月給と比較するため、4月〜6月の残業代だけ気にしても意味ない

※ただし、年間平均月給が優先されるのは、4月〜6月の平均月給より2等級以上の差がある場合。

社会保険料の決まり方に加え、4月〜6月の残業代を減らしても意味ないとお話しました。
では、社会保険料を抑える方法はないのでしょうか?

その点を次で解説します。



社会保険料を抑える方法

4月〜6月の残業代を抑えても、年間の平均月給と比較されるのであまり意味がないとお話しました。

では、社会保険料を抑える方法はないでしょうか?

いえ、そんなことはありません。
その人の状況にもよりますが、社会保険料を抑える方法として下記2つをあげられます。

  1. 1等級までに抑える
  2. 確定拠出年金で調整する

それぞれ順番に解説します。



1等級までに抑える

1つ目の方法は『1等級に抑える』です。
前述の通り、“4月〜6月の平均月給”と“年間の平均月給”に2等級以上の差がある場合、後者をもとに社会保険料は決められます。

逆にいえば、1等級までの差であれば社会保険料を抑えられるということです。

これも分かりづらいので、例をもとに見てみましょう。

・2020年4月〜2020年6月の平均月給:30万円=22等級
・2019年7月〜2020年6月の平均月給:32万円=23等級
 ⇨この場合、社会保険料は22等級で計算されます。

 

上記のように1等級分の社会保険料を抑えられます。
ただし、抑えるためには事前に自分の年間平均月給がどれくらいか、等級がいくつかを調べなければいけません。


事前計算タイミングとしては、2月の給与を確認した時点がベストでしょう。
なぜなら、多くの会社の給与は、前月の労働に対して支払われているからです。
(月末締め、翌月払い)


つまり、4月〜6月の残業代を調整しようと思ったら、3月〜5月の残業を減らさなければいけません。


そのためには、2月時点での自分の年間平均月給および等級を把握しましょう。
そして、確認した等級をもとに、1等級分の残業代を減らせれば社会保険料を抑えられます。


とはいえ、この方法で全ての人が社会保険料を抑えられるわけではありません。
その理由は主に以下の3つです。


  1. そもそも残業がほとんど発生しない
  2. 年間平均月給と4月〜6月の平均月給に差がない
  3. 等級に差が出るほどの残業代は出ない

 

つまり、毎月のように残業が発生しており、等級に差が出るほどの残業代を支給される人でないと、この方法は活用できません。
非常に限定的な抑え方と言わざるをえません。

一つの方法として、ご参考ください。



確定拠出年金で調整する

2つ目の方法は『確定拠出年金(401k)で調整する方法』です。
これは会社で、確定拠出年金の制度を導入している人のみが実施できる方法になります。

確定拠出年金とは年金制度の一つで、ざっくり“退職金制度に近いもの”と認識してもらえれば問題ありません。
確定拠出年金は、毎月の給与から掛金を設定します。
その掛金を投資信託等の運用に回し、60歳になったら受給できる制度です。

確定拠出年金の説明はこの程度に留めますが、ここでポイントになるのは“掛金の設定”です。
掛金額の設定を社員で行える場合、社会保険料を抑えられるでしょう。

その理由は、社会保険料を計算する際の給与に、確定拠出年金の掛金は含まれないからです。

これもいまいち分かりづらいですね。
具体例をもとに見ていきましょう。

・4月〜6月平均月給:32万円=23等級



・4月〜6月平均月給:32万円
・確定拠出年金の掛金:2万円/月



・差し引きの4月〜6月の平均月給:30万円=22等級

上記のように、確定拠出年金の掛金を利用して社会保険料を抑えられます。
ただし、掛金の設定を大きくし過ぎて、2等級以上の差とならないよう注意しましょう。


その場合は前述の通り、年間平均月給をもとに社会保険料が定められてしまいます。

以上、社会保険料を抑える方法を2つ紹介しました。
できる人も限られる限定的な方法ですが、ご参考ください!

最後に、そもそも社会保険料を多く払うことは損なのか?
社会保険料の支払いは少なければ良いのか?
その点を解説します。


社会保険料は少なければいいとは限らない

ここまで社会保険料の決まり方、支払額を抑える方法についてお話しました。

しかし、そもそも支払額が少なければお得なのでしょうか?
その点について、最後にお話していきます。

結論から述べると、社会保険料の支払額が少ないからといって、お得になるとは限りません。
なぜなら、社会保険料を多く支払えば、将来もらえるお金が増えるからです。

65歳から受給できる厚生年金の額は、それまでに支払った社会保険料(厚生年金保険料)に基づいて算出されます。
単純な話、社会保険料を支払っている人ほど、多く厚生年金をもらえる計算です。

とはいえ、この辺りの優先順位は人によるでしょう。
「老後に年金をたくさんもらいたい」「いちいち等級の計算をするのは面倒くさい」という人は、特に社会保険料を気にせず支払うので問題ありません。

逆に「将来、本当に年金をもらえるか怪しいよ!」「今使えるお金を少しでも増やしたいなぁ」という人は、等級を計算して可能な限り社会保険料を抑えるのも手でしょう。

いずれにせよ、多くの人は意識せずに支払っているのが社会保険料です。
せめて、どのように金額が決まり、支払っているのか、それを知っておくだけでも損はないのではないでしょうか。



まとめ

以上、社会保険料についてお話しました。

自分の平均月給さえ分かれば、社会保険料額は簡単に調べられます。
興味のある人は、ぜひ記事内で紹介した都道府県ごとに保険料額表をご覧ください。

また、社会保険料を抑える方法も述べましたが、非常に限定的です。
しかも、残業時間を計算したり、平均月給を計算したりと、そこそこの労力を費します。

そうまでして社会保険料を下げるべきかは、人それぞれによるでしょう。
あくまで「こうした方法があるんだなー」と参考情報として受け止めてもらえれば幸いです。

余談ですが、元々この記事を書こうと思ったきっかけは、僕の会社で確定拠出年金を導入していたことからです。

記事の中でも述べたように、僕の会社は掛金額をある程度自由に設定をできるので、社会保険料の調整が可能でした。

調整する中で、社会保険料の等級の存在を知り、各種制度を知っていったという具合ですね。

今後、社会保険料を知るうえで、少しでも本記事が参考になりましたら幸いです。
それではここまでお付き合いいただき、ありがとうございます。

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